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第1土曜特集 成人先天性心疾患――各国のガイドラインに学ぶ
成人先天性心疾患特有の諸問題
ACHDに合併する肺高血圧症の診断と治療
Diagnosis and treatment of ACHD-associated pulmonary hypertension
常盤 洋之
1
,
相馬 桂
2
Hiroyuki TOKIWA
1
,
Katsura SOMA
2
1東京大学医学部附属病院コンピュータ画像診断学/予防医学講座
2同循環器内科
キーワード:
肺高血圧症(PH)
,
Treat and Repair
,
アイゼンメンジャー症候群
,
シャント
Keyword:
肺高血圧症(PH)
,
Treat and Repair
,
アイゼンメンジャー症候群
,
シャント
pp.459-464
発行日 2025年5月3日
Published Date 2025/5/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293050459
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成人先天性心疾患(ACHD)患者では,一定の頻度で肺高血圧症(PH)の合併がみられる.心内シャントによる高肺血流状態が持続することで形成される肺動脈性肺高血圧症(PAH)が主たる病因であるが,心機能低下に伴う2群PH,呼吸器疾患に伴う3群PHの要素をしばしば合併しており,治療方針を決定するにあたってはその鑑別を十分に行うことが求められる.治療ではPAH治療薬による薬物治療に加えて,シャントが残存している場合はその閉鎖を行うことで病勢の改善を得られる場合があり,両者を組み合わせた治療戦略である “Treat and Repair” の有用性が近年着目され,改訂された日本循環器学会ガイドラインでも大きく取り上げられている.ただし,全例でシャント閉鎖が適応となるわけではなく,病態によってはシャント閉鎖が血行動態に悪影響を及ぼす場合もあるため,その適応は慎重に判断する必要があるが,いまだその判断基準についてのエビデンスは乏しい.本稿ではACHDに合併するPHに関して,特に体肺シャントに伴うPAHに着目して診断・治療の進め方などについてガイドラインの改訂の要点を踏まえつつ概説する.

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