肺高血圧症の鑑別診断

Pathophysiological evaluation of pulmonary hypertension

　不治の病であった肺高血圧症（PH）は，治療薬の進歩により2000年ごろから飛躍的に予後が向上した．しかし，治療の進歩は同時に不必要な治療や不適切な治療を生む結果にもなりかねない．PHはさまざまな病態が混在する疾患であり，循環生理，呼吸生理を正確に把握する必要がある．本稿では適切な治療を行うために必要な病態生理について，“肺血管系” と “左心系” に分けて評価し，病態把握とそれに対する治療のピットフォールについて解説する．