Japanese
English
特集 小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)の診療
はじめに
Introduction
滝田 順子
1
Junko TAKITA
1
1京都大学大学院医学研究科発達小児科学
pp.259-259
発行日 2023年1月28日
Published Date 2023/1/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28404259
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
0~15歳の小児期における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は,重症化することはまれとされている.しかし一部の例において,多臓器に強い炎症反応を引き起こし,重篤となりうる小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children/pediatric inflammatory multisystem syndrome:MIS-C/PIMS)を続発することが報告されている.MIS-C/PIMSの米国での発症頻度は,21歳未満のSARS-CoV-2感染者100万人当たり316人と報告されており,死亡率は1.4%と低いものの,集中治療を要する重症例は半数を超えている.腹痛,下痢などの消化器症状の頻度が高く,急速に心不全,ショック症状を起こすことが知られており,救命しえたとしても心機能障害を残すことがある.MIS-C/PIMS発症と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連性が強く示唆されているが,本症は新しい疾患概念であり,病態に関しては今なお多くが不明である.川崎病の診断基準を満たす症例は22~64%とされており,類縁疾患と考えられているが診断は難しく,治療法も確立されていないのが現状である.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.