Japanese
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第1土曜特集 小児・AYAがんの最前線
小児肝腫瘍の分子基盤と新規治療法の将来展望
Molecular basis of pediatric liver tumor and future direction of targeted therapy
関口 昌央
1
,
滝田 順子
2
Masahiro SEKIGUCHI
1
,
Junko TAKITA
2
1東京大学医学部附属病院小児科
2京都大学大学院医学研究科発達小児科学
キーワード:
小児肝腫瘍
,
Wntシグナル経路
,
マルチオミックス解析
,
分子生物学的多様性
,
標的治療
Keyword:
小児肝腫瘍
,
Wntシグナル経路
,
マルチオミックス解析
,
分子生物学的多様性
,
標的治療
pp.67-73
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2800167
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小児の肝悪性腫瘍はわが国で年間50例前後発生し,小児がん全体の1~2%を占める.低年齢の児に発生するもののほとんどは肝芽腫であるが,高年齢になるにつれて肝細胞がんの占める割合が増える.肝芽腫はほぼ全例においてCTNNB1遺伝子やAPC遺伝子の変異に伴うWntシグナル経路の亢進がドライバーとなっている一方,肝細胞がんではTERTのプロモーター変異など,肝芽腫と異なる分子基盤をもつものも多い.肝芽腫は症例によって多彩な臨床像を呈するが,それを規定する分子遺伝学的な多様性に関して,近年盛んに行われているマルチオミックス解析により徐々にその全容が明らかになりつつある.遺伝子発現やDNAメチル化に基づく分子遺伝学的なサブグループ分類により,肝芽腫の多様性をより詳細に解析することが可能となっている.そして,高リスク肝芽腫に特異的な治療標的候補の同定も進んでいる.一方で,基礎研究で得られたそれらの知見をどのように臨床へと組み込んでいくかが今後の大きな課題である.
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