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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
大きく変貌する循環器疾患の診療と研究
循環器病領域における疾患iPS細胞の臨床応用のこれまでとこれから
Past and future of clinical application of disease-specific iPS cells in the field of cardiovascular disease
伊藤 正道
1
Masamichi ITO
1
1東京大学大学院医学系研究科先端臨床医学開発講座
キーワード:
疾患特異的iPS細胞
,
iPS細胞由来心筋細胞
,
成熟化
,
組織工学
,
創薬スクリーニング
Keyword:
疾患特異的iPS細胞
,
iPS細胞由来心筋細胞
,
成熟化
,
組織工学
,
創薬スクリーニング
pp.1432-1437
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141432
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循環器疾患を有する患者から樹立した “疾患特異的iPS細胞” には,疾患に関与する遺伝子変異を含むゲノム情報が再現されており,それらを心血管構成細胞に分化させることでin vitroの疾患モデルとして利用できる.組織の生検および培養が容易でない心血管領域において,疾患特異的iPS細胞から分化させた各種細胞は非常に有用な実験リソースであり,すでに病態解明や治療薬開発に貢献してきた.長らく分化細胞の未熟性のために病態再現に限界があることが問題であったが,細胞成熟化誘導のための手法も複数開発されてきている.また,生体内の心臓組織に近い環境を再現するため,組織工学的なアプローチを用いてiPS心筋細胞からさまざまなスケールおよび複雑さの組織様構造物を作る手法が開発されている.いくつかの技術的な課題は残っているものの,細胞生物学の技術進歩に支えられ,iPS細胞を用いた循環器疾患研究は遺伝子変異の機能的意義の解明や創薬の分野でますます存在感を示していくと思われる.
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