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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
慢性炎症・多臓器連関・メカニカルストレスから捉える循環器疾患
心不全特異的線維芽細胞が心不全発症に関与する
Heart failure-specific cardiac fibroblasts are involved in the development of heart failure
小室 仁
1
Jin KOMURO
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科学教室
キーワード:
心臓線維芽細胞
,
心不全
,
単一細胞解析
Keyword:
心臓線維芽細胞
,
心不全
,
単一細胞解析
pp.1311-1315
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141311
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全世界的に患者数・死亡者数が急増し,心不全が大きな問題になっている.これまで多くの心不全研究が行われてきたが,ほとんどが心筋細胞に関するものであった.しかし近年,心臓における細胞数の70%以上が非心筋細胞であることが報告され,非心筋細胞の心不全発症への関与が注目されている.なかでも線維芽細胞は心臓内の細胞の10~15%を占め,他組織と同様に細胞外マトリックスを産生し,創傷治癒時に線維化を引き起こすことがわかっている.心臓線維芽細胞は心筋梗塞後に活性化され,活性化線維芽細胞,myofibroblast,matrifibrocyteと分化し,梗塞巣を安定化することがわかってきた.一方,不全心においても顕著な線維化が認められるが,いままで線維芽細胞の心機能に対する役割を検討した研究はほとんどなかった.筆者らは,シングルセルRNAシークエンス法(scRNA-seq)により心臓線維芽細胞の遺伝子発現パターンには不均一性があることを見出し,心臓線維芽細胞は単に線維化に働くだけでなく心不全発症に関与していることを明らかにした.
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