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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
慢性炎症・多臓器連関・メカニカルストレスから捉える循環器疾患
心不全発症におけるTGF-βシグナルを介した心臓線維芽細胞-心筋細胞相互作用
Cardiac fibroblast-cardiomyocyte interaction via TGF-β signaling in the pathogenesis of heart failure
候 聡志
1
Toshiyuki KO
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科,同大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座
キーワード:
心不全
,
シングルセル解析
,
心臓線維芽細胞
,
Htra3(high temperature requirement A serine peptidase 3)
,
TGF-β(transforming growth factor-β)シグナル
,
IGFBP7(insulin-like growth factor-binding protein 7)
Keyword:
心不全
,
シングルセル解析
,
心臓線維芽細胞
,
Htra3(high temperature requirement A serine peptidase 3)
,
TGF-β(transforming growth factor-β)シグナル
,
IGFBP7(insulin-like growth factor-binding protein 7)
pp.1303-1310
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141303
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心筋細胞および非心筋細胞のシングルセルRNA-seq(scRNA-seq)解析の結果から,心筋細胞-心臓線維芽細胞間では盛んにシグナル伝達のやり取りが存在することがわかった.心臓線維芽細胞の遺伝子発現プロファイルを強く規定する機能未知の遺伝子としてHtra 3(high temperature requirement A serine peptidase 3)を同定し,これが心不全発症過程においてはTGF-βシグナルの抑制を介して心臓線維芽細胞が過剰に活性化しないように調整するのみならず,間接的に心筋細胞にも影響を与えていることが明らかとなり,心不全の新規治療ターゲットであると考えられる.Htra 3の発現はメカニカルストレスによって減弱するが,心不全を発症したHtra3ノックアウトマウスでは心臓線維芽細胞のみならず心筋細胞も大きく遺伝子発現プロファイルが変化し,その一部はヒト重症心不全患者の心筋細胞にも共通してみられるものであった.また,重症心不全状態の心筋細胞から分泌されるサイトカインの一種であるIGFBP7(insulin-like growth factor-binding protein 7)は心不全重症度予測に有用であることも明らかとなった.
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