Japanese
English
特集 X染色体不活化と疾患――新たな展開
女性特有の神経発達障害に関するX染色体不活性化
-――MICPCH症候群
X-chromosome inactivation involved in the neurodevelopmental disorders for females
――Looking for a pathophysiology of MICPCH syndrome
田渕 克彦
1
Katsuhiko TABUCHI
1
1信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所,同学術研究院医学系分子細胞生理学教室
キーワード:
MICPCH症候群
,
CASK
,
TBR1
,
GluN2B
,
シナプス
Keyword:
MICPCH症候群
,
CASK
,
TBR1
,
GluN2B
,
シナプス
pp.881-884
発行日 2022年11月26日
Published Date 2022/11/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28309881
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MICPCH症候群は,X染色体上に存在するCASK遺伝子のヘテロ欠損を原因とする神経発達障害で,患者の大部分は女性である.筆者らは,CASK雌ヘテロノックアウトマウスをMICPCH症候群の疾患モデルとして,脳機能異常について分子レベルで解析した.単一細胞でのRT-PCR解析により,CASK雌ヘテロノックアウトマウスの脳で,CASK発現細胞とCASK欠損細胞がランダムに混在していることが確認されたことから,X染色体不活性化がMICPCH症候群の病態形成に関与していることが示唆された.電気生理学的解析により,CASK欠損ニューロンでは興奮性シナプス入力が増加し,抑制性シナプス入力が減少するという興奮性・抑制性入力のバランス異常が起きていることが判明した.さらに,これはCASK-TBR1転写因子複合体によるGluN2Bの発現促進機構が破綻していることによって起こることもつきとめた.
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