Japanese
English
特集 X染色体不活化と疾患――新たな展開
不活性X染色体の三次元構造と遺伝子発現制御
Three-dimensional architecture and gene expression regulation of the inactive X chromosome
平谷 伊智朗
1
,
プーンパーム ラウィン
1
Ichiro HIRATANI
1
,
Rawin POONPERM
1
1理化学研究所生命機能科学研究センター発生エピジェネティクス研究チーム
キーワード:
X染色体不活性化(XCI)
,
遺伝子発現制御
,
ゲノム三次元構造
,
Hi-C
,
複製タイミング
Keyword:
X染色体不活性化(XCI)
,
遺伝子発現制御
,
ゲノム三次元構造
,
Hi-C
,
複製タイミング
pp.847-852
発行日 2022年11月26日
Published Date 2022/11/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28309847
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X染色体不活性化(XCI)は60年以上も生物学者を魅了し続けてきた現象である.このユニークな染色体レベルの遺伝子抑制現象は,エピジェネティクス,すなわちDNAやヒストンの化学修飾,さらには非コードRNAの代表格であるXist(X-inactive specific transcript)による染色体レベルの遺伝子発現制御機構の研究を牽引してきた.一方,この10年ほどの間に,全ゲノム解析技術の発展と革新的な方法論Hi-Cの登場により,メガベース(Mb)単位のゲノム三次元構造の理解が飛躍的に進んだが,この方法論をいち早く取り入れたのもXCIの研究である.本稿では,Mbスケールの染色体三次元構造に関する最新の知見を紹介したうえで,その観点から不活性X染色体(以下,不活性X)の三次元構造を捉え直しつつ,DNA複製タイミング解析から不活性Xのゲノム三次元構造制御を推定しようとする取り組みも紹介する.ゲノム三次元構造制御の視点を取り入れることで遺伝子発現制御に関する研究にどのようなインパクトがあるのかを,不活性Xを題材に論じたい.
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