Japanese
English
特集 X染色体不活化と疾患――新たな展開
生殖細胞初期化におけるX染色体再活性化のイメージング
In vivo imaging of X chromosome reactivation in primordial germ cells
原本 悦和
1
,
小林 慎
1
Yoshikazu HARAMOTO
1
,
Shin KOBAYASHI
1
1国立研究開発法人産業技術総合研究所細胞分子工学研究部門
キーワード:
X染色体再活性化(XCR)
,
X染色体不活性化(XCI)
,
始原生殖細胞(PGCs)
,
リプログラミング
Keyword:
X染色体再活性化(XCR)
,
X染色体不活性化(XCI)
,
始原生殖細胞(PGCs)
,
リプログラミング
pp.865-870
発行日 2022年11月26日
Published Date 2022/11/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28309865
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発生過程で決定されたX染色体不活性化(XCI)は,胚の細胞分裂後も安定に保たれる.しかし,始原生殖細胞(PGCs)は例外的にリプログラミングを受けて,不活性化されたX染色体が再活性化される.筆者らは,2色の蛍光タンパク質レポーター遺伝子によりX染色体の活性化・不活性化状態をモニタリングできる独自開発の “Momijiシステム” を用いて,PGCsにおけるX染色体再活性化(XCR)について時空間的イメージング解析を行った.Pgk1遺伝子座にレポーターを挿入した解析から,XCRは胚齢10.5日目にはじまり,胚齢13.5日目までにほぼ完了することが確認できた.胚内を移動して生殖隆起(GR)に到達したPGCsは,GRの中でクラスターを形成しながら増殖すると同時にXCRが進行する.この時期,PGCsはGRに一様に分布してXCRが進行しており,GRにXCRを促進する特異な部位は存在しないと考えられる.また,Pgk1遺伝子座のXCRはHprt遺伝子座のXCRに先行しており,エピジェネティックな記憶を消去するタイミングは,X連鎖遺伝子座によって異なることも確認できた.Momijiシステムはin vivoでのリプログラミングの実態を明らかにするうえで有用なツールである.
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