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特集 行動嗜癖――ギャンブル障害・ゲーム障害等の実態と対策
総論
行動嗜癖の疾患概念と病態機序
Concept and mechanism of behavioral addiction
曽良 一郎
1
Ichiro SORA
1
1神戸大学大学院医学研究科デジタル精神医学部門
キーワード:
ギャンブル依存
,
ネット・ゲーム依存
,
薬物依存
,
発達障害
,
報酬回路
Keyword:
ギャンブル依存
,
ネット・ゲーム依存
,
薬物依存
,
発達障害
,
報酬回路
pp.568-575
発行日 2022年11月5日
Published Date 2022/11/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28306568
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依存症は薬物(物質)依存と行動(非物質)嗜癖に大別され,行動のなかで依存しやすいのがギャンブルやインターネット・ゲーム使用である.ギャンブル依存はかつて病的賭博として衝動制御障害に分類されていたが,現在では依存症としてネット・ゲーム依存とともに薬物依存と共通する病態機序が推測されている.ギャンブルやインターネット・ゲーム使用による報酬系ドパミン神経伝達が活性化されることにより依存形成がはじまるが,ギャンブルやインターネット・ゲームを使用していない時に快感刺激への渇望がコントロールできなくなるメカニズムとして,前頭前野皮質機能の変化が示唆されている.脳内神経回路を変化させる依存サイクルは長期間かけて形成されていることから,行動嗜癖の治療経過も長期間にわたり,治療への動機付けを維持できなければ治療中断に陥りやすい.行動嗜癖は気分障害や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害と併存しやすく,併存のメカニズムの解明が行動嗜癖の診断や治療法の開発に貢献できると期待される.
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