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実験講座
レポータータンパク質の再構成法を利用した生体分子イメージング
Biomolecular imaging based on split-reporter reconstitution
菅野 憲
1
,
小澤 岳昌
1
Akira Kanno
1
,
Takeaki Ozawa
1
1東京大学大学院理学系研究科化学専攻
pp.66-72
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100149
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生きた細胞内では,細胞内外の環境変化に応じたさまざまな化学的プロセスや情報伝達が行われている。細胞内の情報伝達は,生体を構成する主要物質であるタンパク質や核酸などの生体分子を介して実行される。生体分子が生きた細胞や生体内で,いつ・どこで・何が・どの程度作用しているかを詳細に解析することは,現在の生命科学研究において重要なテーマである。
生きた細胞内でのタンパク質の動態を低侵襲的に観察するため,さまざまなレポータータンパク質が使用されている(表1)。レポータータンパク質とは,細胞内でのタンパク質発現や局在を可視化するために用いられるタンパク質のことである。たとえば,緑色蛍光タンパク質(GFP),発光タンパク質ルシフェラーゼなどが挙げられる1-3)。GFPをレポータータンパク質として用いた場合,生きた細胞内のタンパク質の動的な挙動をリアルタイムで観察することが可能である。ルシフェラーゼの生物発光反応による赤色光は,動物組織やヘモグロビンに吸収されることなく動物個体を透過するので,マウスなどの小動物を対象とした低侵襲イメージングに用いられている。GFPやルシフェラーゼなどのレポータータンパク質は,分析対象の標的タンパク質に融合したり,そのcDNAを標的プロモーターの下流に連結したりなど,「タグ」としての利用が一般的である。
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