Japanese
English
特集 脳神経回路のダイナミクスから探る脳の発達・疾患・老化
内在性のニューロン再生過程における新生ニューロンの移動制御機構
The mechanism of neuronal migration in endogenous neurogenesis
齋藤 志朗
1,2
,
金子 奈穂子
1
,
澤本 和延
1,3
Saito Shiro
1,2
,
Kaneko Naoko
1
,
Sawamoto Kazunobu
1,3
1名古屋市立大学大学院医学研究科再生医学分野
2名古屋市立大学整形外科
3自然科学研究機構生理学研究所神経発達・再生機構研究部門
キーワード:
神経幹細胞
,
脳室下帯
,
新生ニューロン
Keyword:
神経幹細胞
,
脳室下帯
,
新生ニューロン
pp.63-67
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200951
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ニューロンの大部分は胎生期に産生され,成熟した脳内ではニューロンの新生は特定の領域のみで限定的に行われる。よって,脳卒中や低酸素脳症などにより大規模にニューロンが脱落すると,ニューロンはほとんど再生されることなく,神経機能は長期にわたって障害される。現時点では有効な治療法がないこれらの病態に対して,再生医学的な治療法の開発が模索されている。
側脳室周囲の脳室下帯は,成熟後もニューロンを持続的に産生している特殊な領域の一つで,ここで産生された幼若な新生ニューロンは脳内を長距離にわたって移動し,神経回路の可塑性や再生に寄与していることがわかってきた。しかし,この内在性のシステムによって再生されるニューロンはごく少数であり,失われたニューロンの機能を代償するのは不可能である。よって,脳室下帯におけるニューロン新生のメカニズムを解明し,この過程を促進する介入法を見いだすことは内在性のニューロン再生システムを活用した再生医療の開発に向けて必須な課題である。本稿では,特に新生ニューロンの移動過程に焦点を絞り,その制御メカニズムや傷害部への供給の促進法について最新の知見を含めて概説する。
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