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第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
さまざまな生命現象と細胞死
発生と組織修復におけるカスパーゼの非細胞死性の機能
Caspase-dependent non-lethal cellular processes in development and tissue repair
篠田 夏樹
1
,
三浦 正幸
1
Natsuki SHINODA
1
,
Masayuki MIURA
1
1東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室
キーワード:
カスパーゼ
,
非細胞死性の機能
,
発生
,
組織修復
Keyword:
カスパーゼ
,
非細胞死性の機能
,
発生
,
組織修復
pp.426-431
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305426
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カスパーゼは動物に広く保存された,アポトーシス実行因子として有名なシステインプロテアーゼである.他方,カスパーゼはアポトーシスを越えて多くの生理機能を発揮することが明らかとなってきた.一連のカスパーゼによる非細胞死性の機能はcaspase-dependent non-lethal cellular processes(CDPs)と定義され,新しい研究領域として樹立された.CDPsは細胞形態の大規模リモデリング,細胞分化/脱分化,細胞遊走,細胞増殖,軸索再生をはじめとして多様な細胞生理機能を含み,幅広い動物種において発生過程および組織修復過程を制御する.本稿ではこうした多彩なCDPsの例を紹介し,その多面性および一般性を俯瞰する.カスパーゼの活性化というただひとつの生化学的事象が,なぜ文脈に応じて多彩な細胞生理機能を惹起できるのか.その分子的な理解を通して,緻密に制御された生化学反応の理解が進むことが期待される.
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