Japanese
English
Bedside Teaching
間質性肺炎と肺線維症
Interstitial Pneumonia and Fibrosis of the Lung
三方 淳男
1,2
,
薬丸 一洋
1,2
Atsuo Mikata
1,2
,
Kazuhiro Yakumaru
1,2
1慶応義塾大学医学部中央検査部病理
2慶応義塾大学医学部病理学教室
1Pathology Division of Central Laboratory, School of Medicine, Keio University
2Department of Pathology, School of Medicine, Keio University
pp.983-989
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202436
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間質性肺炎とは,主に肺胞壁・気管枝周囲・小葉間結合織などの肺の間質といわれる部分に起こる炎症であるが,当然肺胞内への滲出,細胞滲潤を多少はともなっており,また大葉性・小葉性肺炎の部分現象として現われることもあり,厳密な意味での肺間質炎はすくないといえる。肺胞腔を主体とする炎症にpneumonia,肺胞壁をふくめた間質を主体とする炎症にpneumonitisと二つの言葉を区別して使用することも多い1)。一方,間質性肺炎と肺線維症とが,しばしば同義的に使用されるが,これは両病変のoverlap,すなわち間質性肺炎の慢性化,治癒現象としての間質の線維化,瘢痕化が,一次的・二次的に加わった肺胞内滲出物の器質化とあいまって,著明な線維化をきたすためであろう。間質性肺炎の経過中に肺生検が行なわれることは少なく,多くは剖検例で診断が下されるため,実際に間質性肺炎のうちの,どの位が慢性化し肺線維症に移行するかは明らかでない。
間質性肺炎一般に共通した組織所見としては,肺胞壁,気管支壁,血管周囲などの充血,浮腫,リンパ球や形質細胞などの小円形細胞滲潤,線維芽細胞の増生,肺胞上皮の増生と肺胞内への単核細胞の滲出などがあげられるが,疾患によって多少とも特徴的な点がみられる。以下,その二,三について,症例をまじえながら概説を試みる。
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