特集 今日の呼吸器診療と今後の展望
知っておきたい呼吸器疾患
薬剤性肺障害
杉野 圭史
1
,
小野 絋貴
1
1一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院呼吸器内科間質性肺炎・肺線維症センター
キーワード:
薬剤性肺障害
,
免疫チェックポイント阻害薬
,
分子標的治療薬
,
mTOR阻害薬
,
生物学的製剤
Keyword:
薬剤性肺障害
,
免疫チェックポイント阻害薬
,
分子標的治療薬
,
mTOR阻害薬
,
生物学的製剤
pp.1451-1456
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1451
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Summary
▪近年,分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬,生物学的製剤などが相次いで開発・上市されているなか,薬剤性肺障害の増加と多様性が危惧されている.
▪すべての薬剤で薬剤性肺障害が生じうるが,欧米人に比して日本人では,複数の薬剤で薬剤性肺障害が高頻度に発症することが知られており,人種差による機序が推測されているが明らかな原因は不明である.
▪多様性については,薬剤別あるいは同一薬剤においても,被疑薬中止後や治療反応性,重症度,予後などの相違点が認められる.
▪mTOR阻害薬のように,それによる肺障害がごく軽症な例では薬剤を中止することなく継続可能なものもある一方で,gefitinibのようなびまん性肺胞障害を合併し重篤化するものまでさまざまである.
▪われわれは実臨床において常に薬剤性肺障害の可能性を意識し,その早期診断と適切な対応に努めることが重要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2019