FORUM 病院建築への誘い――医療者と病院建築のかかわりを考える
特別編―個室病棟について考える
亀谷 佳保里
1
1きららデンタルクリニック歯科医師・博士(工学)
pp.1163-1166
発行日 2022年9月24日
Published Date 2022/9/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282131163
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感染対策を容易にした個室病棟
新型コロナウイルスに感染した患者の受け入れにあたっては,多床室を個室化するなどして対応してきた病院は少なくない.院内感染の防止に個室が有利であることはいうまでもないが,多くの病院が診療報酬で運営される日本では,個室を整備する建築費用や病院運営との調整から,多床室の占める割合が多い.しかし,20年程前から全体の病床数の減るなか,徐々に個室の数は増えてきている(図1)1).これは,患者の療養環境に対する要望など社会背景の変化への対応,ベッドコントロールのしやすさなど,感染管理以外の個室の利点が注目され,建替えや改修などの際に個室の割合が進んできていることを示している.一般病床を全室個室化したことで病床稼働率を上げ,経営回復した施設の報告2)もある.
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