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精神病院における個室について—守山荘病院個室病棟の管理および看護の現状と今後の方向
黒葛原 道子
1
,
辻 順子
1
,
岩瀬 正次
1
1守山荘病院
pp.71-79
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202644
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古い精神病院は,保護収容隔離的な施設であって,だだっ広い家具一つない大部屋に,多数の患者がなすところなく呆然とうずくまっているような光景が各所にみられた。これに反し,新しい精神病院の方向は,治療を中心として運営される,開放的な治療社会としての活発な雰囲気をもった病棟管理が要求されている。精神病院における治療単位としての病棟は,昔の病院にみられたごとき10人,20人もの多数を収容する病室は治療上不適当であり,大部屋といえども4〜6人が限度である。また,個室は全体の20%以下ではいけないとされている(1)(2)。かかる傾向は,精神病院における病室の収容人数が多人数から少人数へ,また,大部屋から小部屋,さらに個室へと向かっていることを示すものである。
われわれの守山荘病院においても,最近数年間の傾向として,患者の大多数が入院の場として個室を希望している。このことは,必ずしも上記のごとき精神病院の新しい方向が患者に反映したわけではなく,患者自身の人間的な,いわば本能的な希望に基づいている。この患者側における個室への欲求を無視して,完全な精神医学的な治療は困難であろう。精神病患者に対する治療として,最近の傾向は,作業,レクリエーション,あるいはリハビリテーション療法の集団療法が重要視されている。
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