AIを用いた診療時記録の自動文書化

Automatic recording of medical records using AI

　日本の医療の現場はさまざまな課題に直面している．医療従事者は電子カルテなどの入力作業や看護記録作成などに多くの時間をとられ，診察時や看護現場で患者と向き合う時間の確保が困難になってきている^1）．AI（人工知能）ホスピタルによる高度診断・治療システムでは，カルテなどの入力作業の効率化や手が塞がっている状態でも入力作業を行える手段として，音声認識技術を活用した研究開発に取り組んでいる．音声認識技術を用いてキーボード入力の代わりに医療従事者自身の声を入力デバイスとして活用することで，患者と向き合いつつ同時にカルテなどの入力作業も実施できるようになる．その結果，医療現場に人間的な温かさを取り戻すことはもちろん，患者の診察待ち時間の減少や医療従事者の残業時間を削減し，ひいては医療サービスの向上や医療従事者の働き方改革，病院経営の健全化などにつなげることができる．