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特集 精神・神経疾患とω3不飽和脂肪酸
食とメンタルヘルス
-――ω3不飽和脂肪酸を中心に
Diet and mental health
大久保 亮
1
Ryo OKUBO
1
1独立行政法人国立病院機構帯広病院精神科・神経科
キーワード:
メンタルへルス
,
ω3不飽和脂肪酸
,
うつ病
Keyword:
メンタルへルス
,
ω3不飽和脂肪酸
,
うつ病
pp.740-744
発行日 2022年8月20日
Published Date 2022/8/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28207740
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食は身体的な健康のみならず,脳機能や精神疾患の発症や慢性化に影響を及ぼすことが示されている.食のなかでも脂肪は脳機能に果たす役割が大きく,研究も盛んに行われている.脂肪摂取に関してナッツ類,白肉(鶏,魚肉),オリーブ油,ω3不飽和脂肪酸(以下,ω3)を積極的に,赤肉(豚,羊,牛肉)や飽和脂肪酸を控えめに摂取することが海外のガイドラインで推奨されている.海外の大規模臨床試験の結果からは,2型糖尿病患者がクルミ中心のナッツ類を1日30g摂取することで,うつ病発症のリスクが4割程度軽減することが示されている.日本では観察研究によるエビデンスしかないものの,白肉を赤肉よりも多く食べることで,うつ病発症の危険性が最大5割程度低下する可能性が示されている.大規模な研究は少数であり,食習慣は国によって大きく異なるため,日本人のうつ病予防に関してより科学的根拠を持った推奨を出すためには,さらなる研究を行う必要がある.
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