Japanese
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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
聴覚
難聴の遺伝的要因と発症メカニズム
Genetic factors and pathogenic mechanisms of hearing loss
関 優太
1
,
吉川 欣亮
1
Yuta SEKI
1
,
Yoshiaki KIKKAWA
1
1東京都医学総合研究所難聴プロジェクト
キーワード:
難聴
,
遺伝的要因
,
コルチ器
,
不動毛
,
モデル動物
Keyword:
難聴
,
遺伝的要因
,
コルチ器
,
不動毛
,
モデル動物
pp.648-656
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206648
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難聴はありふれた感覚障害であり,世界中で4億を超えるヒトが聴覚障害を抱え,今後,難聴者の数はより増加することが推定されている.難聴は障害部位により伝音性と感音性とされ,発症時期で先天性,進行性および加齢性に分類される.また難聴は遺伝的要因の関与が強く,先天性難聴は潜性(劣性),進行性難聴は顕性(優性)の遺伝形質である場合が多い.これまでさまざまな遺伝子に難聴の原因となる変異が同定され,近年では,難聴原因遺伝子の多くはそれら遺伝子がコードするタンパク質の内耳における発現・局在解析,タンパク質相互作用解析,およびモデル動物の表現型解析によって機能解明が進み,一部の難聴遺伝子では発症メカニズムも明らかとなってきた.本稿は,これまで報告されている代表的な難聴発症の原因となる遺伝子を紹介する.そのうち,多くの難聴発症の原因となることが予想される有毛細胞に局在する先天性難聴の原因遺伝子および半顕性の遺伝形式で患者に変異が多数報告される遺伝子を例に,主に遺伝学とモデル動物の表現型解析に基づく発症メカニズムについて概説する.
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