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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
聴覚
ヒト内耳オルガノイド研究の開発過程と今後の展望
Development and perspectives of human inner ear organoid research
中村 高志
1
,
橋野 恵理
2
Takashi NAKAMURA
1
,
Eri HASHINO
2
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
2インディアナ大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
内耳オルガノイド
,
ヒトES細胞(胚性幹細胞)
,
前庭
,
蝸牛
,
オルガノイドスクリーニング
Keyword:
内耳オルガノイド
,
ヒトES細胞(胚性幹細胞)
,
前庭
,
蝸牛
,
オルガノイドスクリーニング
pp.657-662
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206657
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オルガノイドとは “Organ” と “oid” を組み合わせた造語であり,あえて日本語化すると “臓器様組織” となるであろう.それは培養インキュベーターの中で多能性幹細胞(ES細胞やiPS細胞)あるいは組織幹細胞から作り出されるミニチュア臓器のことである.幹細胞の本質である自己複製能と分化能を利用して,まずは臓器の発生過程を模倣するように分化を促し,最終的には自身が持つ自己組織化(self-organization)のプロセスを経て,三次元的な “臓器様組織” が作り出される.2008年の大脳皮質オルガノイドを皮切りに,現在までに肝臓や腎臓,消化器官から呼吸器官に至るまで,人体のありとあらゆるミニ臓器が培養可能となっている.本稿においては,内耳オルガノイドの開発過程と現在における試み,そして臨床応用を見据えた今後の展望について概説する.
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