特集 ウイルス肝炎の疫学と予防
ウイルス肝炎の疫学—E型肝炎の疫学
内田 俊和
1
,
志方 俊夫
1
Toshikazu UCHIDA
1
,
Toshio SHIKATA
1
1日本大学医学部第1病理学教室
pp.742-744
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902908
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■E型肝炎とは
E型肝炎という用語が定着したのは,ここ1〜2年のことである.以前は経口型(enterically transmitted,水系,流行性)非A非B型肝炎と呼ばれていた.日本で問題になっている非A非B型肝炎は,輸血を介して伝播するC型であるが,開発途上国ではE型がさしあたり重要である.
E型肝炎はウイルス形態学,疫学,臨床など多方面にわたりA型肝炎に似ている.ウイルスの遺伝子はA型とは全く異なり,相同性はないが,形状はエンベロープを欠き,またクレオカプシドから成り,球形で,直径は27nmである.ゲノムはRNA. 起炎ウイルスは主に,糞便に汚染された飲料水を介し経口感染する.少なくとも流行例では,食物を通して伝播することはあまりない.ウイルスは物理学的に脆弱で,そのためか感染力が弱く,家族内で2次感染することは稀である.
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