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特集 A型・E型肝炎の最新動向
【E型肝炎】
E型肝炎ウイルスに関する最近のトピックス
Recent topics on hepatitis E virus
長嶋 茂雄
1
Shigeo NAGASHIMA
1
1自治医科大学医学部感染・免疫学講座ウイルス学部門
キーワード:
E型肝炎ウイルス(HEV)
,
準エンベロープ型HEV(eHEV)
,
非エンベロープ型HEV(neHEV)
,
組換えレポーターウイルス
,
薬剤スクリーニングシステム
Keyword:
E型肝炎ウイルス(HEV)
,
準エンベロープ型HEV(eHEV)
,
非エンベロープ型HEV(neHEV)
,
組換えレポーターウイルス
,
薬剤スクリーニングシステム
pp.129-136
発行日 2022年7月9日
Published Date 2022/7/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28202129
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E型肝炎ウイルス(HEV)感染は,世界的に急性肝炎の主要な原因となっている.最近の研究により,HEVには膜に覆われていない非エンベロープ型粒子(neHEV)と膜に覆われた準エンベロープ型粒子(eHEV)の2つの形態があることが明らかとなった.これらのHEVはどちらも感染性を有しており,感染伝播や感染個体内でのウイルスの増殖において重要な役割を担っている.HEV感染のほとんどは無症状であるが,劇症化することも報告されており,死亡例も認められる.一方,臓器移植患者や免疫不全患者では,HEV感染は高頻度に慢性化する.現在は,慢性肝炎に対してリバビリンが保険外で投与されているが,重篤な副作用による投与中止例や無効例の存在が大きな課題となっている.HEVに対する薬剤スクリーニングは,主にレプリコンシステム(感染性を持たないが,RNAの自己複製が可能なHEV遺伝子を用いた方法)が用いられている.筆者らは,レポーター遺伝子を有する感染性の組換えHEV(HEV-nanoKAZ)を開発し,それを利用することにより抗HEV効果を示す薬剤を網羅的にスクリーニングすることに成功した.今後,さまざまな薬剤や化合物のライブラリをスクリーニングすることにより,HEVに対してより効果的な薬剤が見出されることが期待される.
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