Japanese
English
特集 ミトコンドリア病――病態解明を基盤とした治療薬開発
NRF2によるミトコンドリア機能制御
Physiological contribution of NRF2 to mitochondrial activity
成 恩圭
1
,
村上 昌平
1
,
本橋 ほづみ
1
Eunkyu SUNG
1
,
Shohei MURAKAMI
1
,
Hozumi MOTOHASHI
1
1東北大学加齢医学研究所加齢制御研究部門遺伝子発現制御分野
キーワード:
KEAP1-NRF2制御系
,
硫黄代謝
,
酸化ストレス
,
ミトコンドリア機能
Keyword:
KEAP1-NRF2制御系
,
硫黄代謝
,
酸化ストレス
,
ミトコンドリア機能
pp.1162-1167
発行日 2022年6月18日
Published Date 2022/6/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281121162
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KEAP1-NRF2制御系は外来物質や酸化ストレスに応答する生体防御機構のひとつである.内因性の酸化ストレスは主にミトコンドリアで生じるため,KEAP1-NRF2制御系は酸化ストレス制御を介して,ミトコンドリア機能を制御していると考えられてきた.しかし近年,KEAP1-NRF2制御系は,他にも細胞分化・増殖制御やエネルギー代謝など,さまざまな生命現象に寄与していることが明らかにされており,ミトコンドリアでは電子伝達系やミトコンドリア生合成の制御を介して,ミトコンドリア機能を制御することが報告されている.さらに最近,ミトコンドリアにおける硫黄代謝物が注目されており,NRF2はその硫黄代謝の起点となるシステインの供給を促進させることで,ミトコンドリアの機能を向上すると推察されている.ミトコンドリアにおける硫黄代謝制御およびKEAP1-NRF2制御系の研究はまだ着目されはじめたばかりであり,今後の詳細な解析が必要とされるが,ミトコンドリア病などミトコンドリア関連疾患における新規治療開発の足がかりとなると期待される.
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