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特集 ミトコンドリア病――病態解明を基盤とした治療薬開発
ミトコンドリアDNAの複製・維持機構と関連疾患
Maintenance and replication of mammalian mitochondrial DNA
安川 武宏
1
,
康 東天
2
Takehiro YASUKAWA
1
,
Dongchon KANG
2
1順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座
2九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野
キーワード:
ミトコンドリアDNA(mtDNA)
,
ミトコンドリア転写因子A(TFAM)
,
アセチル化
,
DNA複製
Keyword:
ミトコンドリアDNA(mtDNA)
,
ミトコンドリア転写因子A(TFAM)
,
アセチル化
,
DNA複製
pp.1121-1127
発行日 2022年6月18日
Published Date 2022/6/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281121121
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ミトコンドリアは独自のゲノム,ミトコンドリアDNA(mtDNA)を持つ.動物細胞の細胞小器官でDNAを保持しているのはミトコンドリアのみである.mtDNAはATPを産生する酸化的リン酸化をつかさどる呼吸鎖酵素複合体のサブユニットをコードしており,生命活動の根幹に決定的に関わるゲノムである.mtDNAの重要性は,mtDNAに生じた変異やコピー数の低下がミトコンドリア病の原因となったり,がんを含むさまざまな疾患に関与していることからも理解できる.mtDNAは多コピーゲノムで,そのコピー数や存在様式は組織や細胞間で一様ではなく,ヒストンとは異なるミトコンドリア転写因子A(TFAM)とよばれるタンパク質によって維持・保護されている.そして,mtDNAは細胞分裂を停止した細胞内でも複製を続けてターンオーバーしており,独特のメカニズムで複製している.本稿では,このように核DNAとは一線を画するさまざまな興味深い特徴を持つmtDNAの維持・複製機構を概説する.
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