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連載 バイオインフォマティクスの世界・第10回
機械学習による薬物応答トランスクリプトームの解析と疾患治療薬の探索
Analysis of drug-induced transcriptome responses by machine learning toward drug discovery
岩田 通夫
1
,
山西 芳裕
1
Michio IWATA
1
,
Yoshihiro YAMANISHI
1
1九州工業大学大学院情報工学研究院生命化学情報工学研究系
キーワード:
欠損値補完
,
テンソル分解
,
遺伝子発現
,
ヒト細胞
,
創薬
Keyword:
欠損値補完
,
テンソル分解
,
遺伝子発現
,
ヒト細胞
,
創薬
pp.1103-1108
発行日 2022年6月11日
Published Date 2022/6/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281111103
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SUMMARY
ヒト細胞における薬物応答を遺伝子レベルで理解することは創薬の重要課題である.しかしながら,すべての薬物やヒト細胞の組み合わせに対して網羅的にデータを測定することは難しく,未観測値や欠損値が研究上の障害となっている.本稿では,薬物応答遺伝子発現プロファイルを,薬物,遺伝子,細胞,時系列からなるテンソル構造と見なし,新しいテンソル分解アルゴリズムを用いて,さまざまな細胞における未観測の薬物応答を予測する機械学習手法を紹介する.開発手法は従来手法に比べて,薬物応答遺伝子発現データ中の欠損値を高精度に補完できた.また,補完したトランスクリプトームデータを疾患治療薬の探索に応用し,予測精度が向上することを確認した.さらに,提案手法を用いて,さまざまな疾患の治療薬候補と期待される薬物を選出した.開発手法は,薬物の作用メカニズムの解明,薬効予測,医薬品候補化合物の探索などに活用できるため,創薬研究に大きく貢献することが期待される.
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