Japanese
English
特集 希少がんに対する診療提供体制の現状と展望
はじめに
-――国の希少がん対策のこれまでと現在
Introduction
東 尚弘
1
,
川井 章
1
Takahiro HIGASHI
1
,
Akira KAWAI
1
1国立がん研究センター希少がんセンター
pp.297-297
発行日 2022年4月23日
Published Date 2022/4/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28104297
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
希少がんは,2012年に閣議決定した第2期のがん対策推進基本計画において,対策が講じられるべき課題としてあげられた.それを受け,2015年,厚生労働省の「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」報告書において,希少がんの定義が「人口10万人当たり年間発生6例未満,また,数が少ないために診療・受療上の課題が他のがんに比べて大きいもの」と2つの要素で定義された.この検討会では希少がん全般に共通する課題について検討がなされたが,その後,国立がん研究センターが希少がん中央機関として指定され,ホームページや電話相談の充実がはかられるとともに,“希少がん対策ワーキンググループ(WG)” が設置され,個別のがん種ごとに必要な対策が検討された.これまでに,四肢の軟部肉腫,眼腫瘍,神経内分泌腫瘍の検討が行われてきた.WGでは,希少がん診療における大きな問題は,希少がん患者が安心して受診できる専門施設が不明であるという観点から,特定の希少がんに関して専門施設が満たすべき施設特性が定められ,必要な特性を満たす施設を全国から募集して,国立がん研究センターがん情報サービスにおいて情報公開が行われた.また,並行して国の希少がん対策として,厚生労働科学研究費や委託事業の枠組みにより,診療ガイドラインの推進や病理医の育成を目指した活動への助成が行われている.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.