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特集 褐色・ベージュ・白色脂肪細胞研究UPDATE
M2マクロファージ/前駆脂肪細胞相互作用からみた皮下脂肪組織と内臓脂肪組織の違い
Adipocyte progenitors regulate visceral and subcutaneous obesity
戸邉 一之
1
,
アラー ナワズ
1
,
藤坂 志帆
1
Kazuyuki TOBE
1
,
Nawas ALLAH
1
,
Shiho FUJISAKA
1
1富山大学学術研究部医学系内科学第一講座
キーワード:
前駆脂肪細胞
,
脂肪組織の分布
,
M2マクロファージ
Keyword:
前駆脂肪細胞
,
脂肪組織の分布
,
M2マクロファージ
pp.1150-1159
発行日 2022年3月12日
Published Date 2022/3/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu280111150
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肥満ではインスリン抵抗性が誘導されるが,脂肪組織におけるマクロファージが重要な働きをしている.最近,筆者らはM2マクロファージが前駆脂肪細胞のニッチ(保管庫)として働き,前駆脂肪細胞の増殖や分化を調節していることを明らかにした.皮下脂肪組織には,M2マクロファージが多く存在することから前駆脂肪細胞も内臓脂肪組織よりも多く存在する可能性を考えて,前駆脂肪細胞の細胞系譜実験を行った.その結果,皮下脂肪組織の前駆脂肪細胞は数も多く,増殖能も高く,また分化能も高いことが判明した.このことから,皮下脂肪組織は前駆脂肪細胞からの分化が脂肪組織増大の主な要因であり(過形成),分化にエネルギーが必要なため小型にとどまる.一方,内臓脂肪組織では分化が少ないため過剰なエネルギーが個々の脂肪細胞の大型化(肥大)を招き,このことが内臓脂肪組織に炎症が起こりやすい原因と考えられた.
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