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第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
脂肪組織M1マクロファージに発現するHIF-1αによる病的肥満の形成
HIF-1α in adipose tissue macrophage promotes remodeling toward insulin resistance
戸邉 一之
1
,
瀧川 章子
1
,
アラー ナワズ
1
,
角 朝信
1
,
藤坂 志帆
1
Kazuyuki TOBE
1
,
Akiko TAKIKAWA
1
,
Allah NAWAZ
1
,
Tomonobu KADO
1
,
Shiho FUJISAKA
1
1富山大学学術研究部医学系内科学第一講座
キーワード:
肥満
,
脂肪組織マクロファージ(ATM)
,
脂質関連マクロファージ(LAM)
Keyword:
肥満
,
脂肪組織マクロファージ(ATM)
,
脂質関連マクロファージ(LAM)
pp.112-117
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28201112
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高脂肪食,運動不足のエネルギー過剰の生活習慣により,肥満,特に内臓脂肪蓄積を介して慢性炎症からインスリン抵抗性が惹起され,2型糖尿病を発症するものが増加している.内臓脂肪での慢性炎症に大きな役割を果たすのは,マクロファージ(Mφ)である.筆者らはフローサイトメトリーによる解析により,非肥満の状態では抗炎症性M2マクロファージが優位であり,肥満に伴い炎症性M1マクロファージが優位になることを明らかにしてきた.すなわち,M2マクロファージからはIL-10が分泌され,抗炎症作用によりインスリン感受性を賦与し,M1マクロファージから炎症性サイトカインが分泌され,全身をインスリン抵抗性に導くという仮説である.肥満脂肪組織では,その肥大化に血管新生が追いつかず低酸素になる.マクロファージの低酸素誘導因子(HIF)-1αを介した低酸素反応が慢性炎症を惹起し,インスリン抵抗性をさらに悪化させることを示した.本稿では,最近のシングルセルRNA解析から明らかになった新たなマクロファージのサブタイプである脂質の貯蔵に関連する脂質関連マクロファージ(LAM)についても,最近の論文をレビューする.
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