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特集 褐色・ベージュ・白色脂肪細胞研究UPDATE
心理ストレスによる褐色脂肪熱産生と体温上昇の中枢神経回路
Central circuit for psychological stress-induced brown fat thermogenesis and hyperthermia
中村 和弘
1
Kazuhiro NAKAMURA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科統合生理学
キーワード:
心理ストレス
,
視床下部
,
皮質辺縁系
,
交感神経系
,
心身相関
Keyword:
心理ストレス
,
視床下部
,
皮質辺縁系
,
交感神経系
,
心身相関
pp.1139-1143
発行日 2022年3月12日
Published Date 2022/3/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu280111139
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心理ストレスを受けた哺乳類は多くの場合,体温が上昇する.このストレス反応には,交感神経系の活動亢進の結果生じる褐色脂肪の熱産生や皮膚血管収縮(熱放散の抑制)が寄与する.同時に,脈拍や血圧も上昇することで,熱産生器官や中枢神経系などへの血液循環(エネルギー源や酸素の供給)を促進する.こうしたストレス反応を駆動するのは,視床下部背内側部から延髄の交感神経プレモーターニューロンへ至る興奮性神経路である.また,視床下部背内側部から視床下部室傍核への神経路はストレスホルモン分泌を駆動すると考えられる.最近の研究から,視床下部背内側部は,大脳皮質の内側前頭前野の最深部から心理ストレス信号の入力を受けることが発見された.この神経路は,情動やストレスなどを処理する “心” の神経回路と “体” の調節を担う視床下部とをつなぐ,心身相関の鍵となる仕組みであると考えられ,ストレス関連疾患の身体症状の治療標的として期待される.
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