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第1土曜特集 結核と非結核性抗酸菌症Up to Date――診断,治療,感染対策,発病予防
結核
結核の院内・施設内感染対策
TB infection control in hospitals and health care facilities
阿彦 忠之
1
Tadayuki AHIKO
1
1山形県健康福祉部医療統括監
キーワード:
結核集団感染
,
院内・施設内感染
,
低蔓延化
,
結核分子疫学
,
インターフェロンγ遊離試験(IGRA)
Keyword:
結核集団感染
,
院内・施設内感染
,
低蔓延化
,
結核分子疫学
,
インターフェロンγ遊離試験(IGRA)
pp.669-674
発行日 2022年2月5日
Published Date 2022/2/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28006669
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結核の低蔓延化と高齢者への偏在化が進む日本では,結核の院内・施設内感染のリスクが増大している.病院や高齢者施設などに入院・入所中の結核発見例がめだち,その診断の遅れは院内・施設内感染に直結する.院内・施設内感染の最大の予防策は “結核の早期診断” であり,早期診断には入院・入所者の呼吸器以外の症状(体重減少など)にも配慮した健康観察の徹底と記録,および結核発病の危険因子を有する者(とくに高齢者)に結核を疑う症状や胸部X線異常陰影を認めた場合の3日連続検痰(抗酸菌検査)の徹底が重要である.院内・施設内感染の実態把握や原因究明には,保健所の実地疫学調査に加えて分子疫学調査(結核菌のVNTR分析,ゲノム解析)の併用が有用である.日本人の20歳代の結核既感染率はたかだか1%と低く,この年齢層にインターフェロンγ遊離試験(IGRA)を実施した場合の “陽性的中度” は低くなるので,病院などでの職員新採用時のIGRAの適用には注意が必要である.
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