連載 病院管理フォーラム
■院内感染対策―医療監視の立場から・3
結核の院内感染
桜山 豊夫
1
1東京都福祉保健局
pp.230-231
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101919
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今月(3月)の24日は世界結核デーです.1868年3月24日にベルリンで開かれたドイツ生理学会において,コッホ博士が結核の原因と考えられる桿菌について(この菌が後年「結核菌」と呼ばれるようになります),世界で初めてとなる発表を行いました.コッホ博士による結核菌の発見を記念して,3月24日が世界結核デーと制定されました.
かつて結核は「死に至る病」であり,亡国病と呼ばれた次期もありましたが,結核菌の発見から1世紀半,抗結核薬も進歩し,適切な治療を行えば,けっして怖い病気ではありません.しかし感染者が発病に至る経緯など,まだまだ不明の点もあります.世界的に見れば,発展途上国を中心に,かつてないほどの蔓延状態にあり,結核はけっして過去の病気ではありません.わが国においては,結核対策の進展により,患者数は減少しましたが,それに伴って未感染者の割合が大きく増えた結果,学校や会社での集団感染とともに,医療機関での院内感染が注目を集めるようになってきました.
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