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第5土曜特集 現代の臨床研究のための統計学2022――洗練された研究デザインと統計解析を理解してみよう
臨床試験の方法
臨床試験における多重性の問題
Multiplicity issues in clinical trials
吉村 健一
1
Kenichi YOSHIMURA
1
1広島大学学術院/病院未来医療センター 生物統計部
キーワード:
統計的多重性
,
臨床試験
,
αエラー
,
検出力
Keyword:
統計的多重性
,
臨床試験
,
αエラー
,
検出力
pp.370-375
発行日 2022年1月29日
Published Date 2022/1/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28005370
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複数,すなわち2個以上のp値を算出すると多重性の問題が生じる.多重性が存在すると,本当は差がないのに差がある,効果がないのに効果があるという種類の誤った判断に至る確率(αエラー)が上昇してしまうことが一番の問題である.臨床試験における多重性の典型例として,多重エンドポイント,中間解析,サブグループ解析の3つを典型例としてあげることができる.多重エンドポイントは,エンドポイントが複数存在し,それぞれにおいてp値を算出することによって多重性の問題が生じる.中間解析では,試験途中で何度も評価を行うことで複数のp値が算出されることになり,これによって多重性の問題が生じる.サブグループ解析は,サブグループごとにp値を算出して評価を行うことによって多重性の問題が生じる.多重性の問題が生じた場合,αエラーの上昇や検出力の低下など,臨床試験の特性に影響が生じるため,試験計画・解析において考慮が必要になる.
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