Japanese
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特集 骨粗鬆症――予防と治療の将来展望
抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)
Anti-sclerostin antibody(Romosozumab)
松本 俊夫
1
Toshio MATSUMOTO
1
1徳島大学藤井節郎記念医科学センター
キーワード:
古典的Wntシグナル
,
スクレロスチン
,
骨形成促進薬
,
逐次治療
Keyword:
古典的Wntシグナル
,
スクレロスチン
,
骨形成促進薬
,
逐次治療
pp.297-302
発行日 2022年1月22日
Published Date 2022/1/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28004297
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高骨量を示す家系での原因遺伝子の探索から,骨細胞特異的に発現する古典的Wntシグナルの阻害因子スクレロスチンとその遺伝子SOSTが同定され,その作用阻害により骨量が著明に増加することから有望な骨粗鬆症治療法として研究・開発が進められた.抗スクレロスチン抗体ロモソズマブは投与約2週後をピークに骨形成促進と骨吸収抑制作用を示し,月1回210mgの12回投与で作用が徐々に減弱するが,従来の治療薬のいずれをも上回る著明な骨密度増加効果を示した.1年投与後にデノスマブで治療すると骨密度増加が継続し,安全性に問題はなく(FRAME試験),重症骨粗鬆症患者に対しアレンドロネート(ALN)を対照として全部位で骨折防止効果を示すことが示された(ARCH試験).この試験で重篤な心血管系有害事象の発症に不均衡が認められたが,その後の検討で原因となる機序は見出せず,市販後安全性調査でも一般人口での発症率より低値であり,重症骨粗鬆症患者に対し広く使用されるに至っている.
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