連載 ユニークな実験動物を用いた医学研究・Vol.11
カイコを実験動物として用いた創薬研究
関水 和久
1
Kazuhisa SEKIMIZU
1
1帝京大学薬学部寄付講座カイコ創薬学講座
キーワード:
カイコ
,
創薬
,
体内動態
,
感染症
,
動物愛護
Keyword:
カイコ
,
創薬
,
体内動態
,
感染症
,
動物愛護
pp.1194-1201
発行日 2021年12月25日
Published Date 2021/12/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu279121194
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Summary
わが国における養蚕業の歴史のなかで,カイコの飼育法や系統維持が確立されてきた.この産業昆虫であるカイコを用いて,医薬品候補化合物の体内動態ならびに毒性(ADMET)を評価することができる.また,カイコを用いて,感染症や糖尿病などのヒトの病気のモデルを確立することができる.カイコを用いることにより,哺乳動物を用いた非臨床実験で問題となるコストや動物愛護の観点からの倫理的問題を回避することが可能である.すでにわれわれはカイコの病態モデルを用いた探索により,新規抗生物質ライソシンEや,食後高血糖を抑制する効果のある乳酸菌Enterococcus faecalis YM0831を得ることができた.これらの抗生物質や乳酸菌は,マウスやヒトでの試験においても効果を示した.カイコを用いた創薬研究は,従来の動物試験に取って代わると期待される.
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