連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.24
疥癬
-――その治療と対策(病型が違えば感染力も大違い)
関根 万里
1
Mari SEKINE
1
1東京都保健医療公社荏原病院皮膚科
キーワード:
通常疥癬
,
角化型疥癬
,
イベルメクチン
,
フェノトリン
Keyword:
通常疥癬
,
角化型疥癬
,
イベルメクチン
,
フェノトリン
pp.811-816
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908811
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Summary
疥癬は,ヒゼンダニがヒトの皮膚に寄生することにより起こるうつる病である.主に患者の皮膚と直接皮膚が接触することで感染する接触感染である.強い痒みで眠れず皮膚を搔きむしる患者をみることも多いが,痒みは虫が吸血して起こるものではなく,ヒゼンダニに対するアレルギー反応で起こる1).湿疹・皮膚炎,虫刺症など痒みの起こる疾患との鑑別が難しいため,診断が遅れて高齢者施設などでは集団発生となりやすい.しかし日本皮膚科学会で診療ガイドラインが作られており,治療薬もありけっして治療ができない疾患ではなくなっている.通常疥癬と角化型疥癬(ノルウェー疥癬といわれていたもの)とに病型が大きく分けられるが,寄生数の桁数がまったく異なり,これが感染力の差となる.感染力の強い角化型では,患者の隔離,洗濯や掃除など,さまざまな感染対策を講じる必要があるが,通常疥癬では標準予防策が大切で,患者の隔離や集団予防治療は不要である.
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