特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査
各論
2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御
5) 原虫・寄生虫・医動物 疥癬虫
大滝 倫子
1
Noriko OHTAKI
1
1国家公務員共済組合連合会九段坂病院皮膚科
キーワード:
ヒゼンダニ
,
通常疥癬
,
角化型疥癬
Keyword:
ヒゼンダニ
,
通常疥癬
,
角化型疥癬
pp.1441-1444
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102140
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ヒゼンダニの形態と生態
疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)が皮膚角質層に寄生し起こる皮膚感染症である.
ヒゼンダニ雌は体長が0.4mm,円形,乳白色で,前方に顎体部を中心に2対の脚,後部に2対の脚をもつ.前2脚には吸盤を,後2脚には剛毛をもつ.雄の体長は雌の約半分で第4脚目に吸盤をもつ.両者とも皺襞と棘を体表にもつ(図1).幼虫の脚は3対である.図2にヒゼンダニの生活環を示す.雄雌交尾後,雌は疥癬トンネルを角層内に掘り進み,1日2~3個の卵を約1か月間産み続ける.3~4日で孵化した幼虫は胸や腹部など適当な部位に移動する.そこで一時的な穴を角層に掘り,脱皮を繰り返し,若虫を経て成虫となる.生活環は10~14日である.
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