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特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
【トランスレーショナルリサーチ】
ビタミンAをターゲットにした肝線維化改善剤の開発
Development of a vitamin A-targeted therapeutic agent for liver fibrosis
小川 浩司
1
,
坂本 直哉
1
Koji OGAWA
1
,
Naoya SAKAMOTO
1
1北海道大学病院消化器内科
キーワード:
肝星細胞(HSC)
,
ビタミンA
,
HSP47
Keyword:
肝星細胞(HSC)
,
ビタミンA
,
HSP47
pp.795-798
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908795
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肝硬変はウイルス性肝炎や脂肪性肝疾患の終末病態である.ウイルス性肝炎ではウイルス制御により肝線維化は改善するが,肝硬変を根治させるには,肝線維化を積極的に除去する治療法の開発が必要である.また近年,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を背景とする肝硬変が増加しており,これらの脂肪性肝疾患に対する特異的な治療法はない.肝臓の線維化には肝星細胞(HSC)が深く関与し,HSCはビタミンAを貯蔵する特徴を有している.ND-L02-s0201/BMS-986263は,コラーゲン産生に関与するheat shock protein 47(HSP47)に対するsmall interfering RNA(siRNA)製剤である.HSP47 siRNAをビタミンA含有リポゾームに取り込ませ,活性化HSCへ特異的に送達させることにより抗線維化作用を発揮する.わが国における第Ⅰb相試験では,5週投与によりMETAVIR,Ishakの肝線維化スコアが改善した.2021年3月より,わが国を含む25カ国で非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変を対象とした第Ⅱ相試験が開始されている.
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