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特集 今,数理が面白い――医学・生物学への応用
電解質と水バランスの数理生理学
Mathematical physiology of electrolyte and water balance
森 洋一朗
1
Yoichiro MORI
1
1ペンシルバニア大学数学科,同生物学科
キーワード:
細胞の体積調節
,
pump-leakモデル
,
皮質拡延性抑制(CSD)
Keyword:
細胞の体積調節
,
pump-leakモデル
,
皮質拡延性抑制(CSD)
pp.212-216
発行日 2021年10月16日
Published Date 2021/10/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27903212
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動物細胞の体積調節は,NaK ATPaseを駆動して細胞内外のイオン濃度勾配を制御することによって行われている.本稿では,体積調節と電解質バランスの細胞生理について模式的説明を与えた後,細胞体積調節の数理モデルであるpump-leakモデルについて紹介する.体積調節のホメオスタシスをこの数理モデルを用いてどのように解析ができるかを解説し,その解析を通して体積調節の熱力学的背景が浮かび上がってくることをみる.このような熱力学的な理解をもとにして,細胞レベルの水・電解質バランスのモデルであるpump-leakモデルを土台に組織レベルの生理現象に適用可能な数理モデルを構築することが可能となる.最後に,この組織レベルの数理モデルを偏頭痛の前兆である閃輝性暗点の病態生理学的実態である皮質拡延性抑制(CSD)に応用したシミュレーション研究を紹介する.
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