Japanese
English
特集 今,数理が面白い――医学・生物学への応用
数理科学と医学・生命科学の連携
-――皮膚科学との連携を例として
Collaboration between Mathematical Science and Medical and Life Science
長山 雅晴
1
Masaharu NAGAYAMA
1
1北海道大学電子科学研究所 附属社会創造数学研究センター
キーワード:
数理皮膚科学
,
数理モデリング
,
角層バリア機能
,
病態再現
Keyword:
数理皮膚科学
,
数理モデリング
,
角層バリア機能
,
病態再現
pp.217-222
発行日 2021年10月16日
Published Date 2021/10/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27903217
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
本稿では,数学・数理科学と医学・生命科学の連携研究と,筆者らがこれまで行ってきた皮膚科学との連携研究について概説する.筆者らは,角層バリア機能の恒常性維持のメカニズムを理解するために表皮構造モデルを構築し,計算機上に表皮構造を再現した.角層バリア機能を維持するためには,十分な細胞供給が必要であることがわかった.さらに,真皮の形状に凹凸があることが細胞供給を促進することもわかった.1個の基底細胞を分裂周期・分化異常細胞として数値計算した結果,ウオノメに類似した病態を再現することに成功した.ヒトの足底に発症したウオノメ標本の解析を行った結果,発症部位の角層では不全角化が起こっており,正常な分化マーカーが発現せず,基底細胞マーカーが発現していることがわかり,異常な早さで分化が進んだために分化マーカーが誘導されていないことが示された.表皮構造モデルの表皮細胞動態異常によるさまざまな疾患のシミュレーションへの応用ができる結果を得た.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.