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特集 若年性認知症――臨床・基礎・社会的支援のstate of arts
失語を主症状とする若年性認知症の症候学
Language impairment in early-onset dementia
鈴木 匡子
1
Kyoko SUZUKI
1
1東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学
キーワード:
原発性進行性失語症(PPA)
,
前頭側頭型認知症(FTD)
,
アルツハイマー型認知症
,
意味性認知症(SD)
,
進行性非流暢性失語(PNFA)
Keyword:
原発性進行性失語症(PPA)
,
前頭側頭型認知症(FTD)
,
アルツハイマー型認知症
,
意味性認知症(SD)
,
進行性非流暢性失語(PNFA)
pp.1034-1038
発行日 2021年9月18日
Published Date 2021/9/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278121034
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若年性認知症では,失語が主症状となることがある.失語症が前景に立つ変性性認知症は原発性進行性失語症(PPA)とよばれ,失語のためスクリーニング検査の得点は低いが,初期には言語以外の認知機能は保たれる.臨床的特徴から,①非流暢性/失文法型(nfvPPA),②意味型(svPPA),③ロゴペニック(発話減少)型(lvPPA)の3型に分けられ,脳の萎縮/血流低下部位の分布も異なる.中核症状としては,nfvPPAは発話における発語失行または失文法,svPPAは単語の理解・表出障害,lvPPAは語想起困難と句・文の復唱障害があげられる.PPAの3型と背景疾患に1対1対応はないものの,nfvPPAはタウが蓄積する前頭側頭葉変性症(FTLD-Tau),svPPAはTDP-43の蓄積する前頭側頭葉変性症(FTLD-TDP),lvPPAはアルツハイマー病が多い.経過とともに背景疾患を反映した他の認知機能障害や神経症状が出現してくる.したがって,若年性認知症で失語を呈する場合には,その臨床型を明らかにして背景疾患を推測し,経過を考慮して治療方針を立てることが重要である.
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