Japanese
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特集 認知症の人の認知機能障害,生活障害,行動・心理症状の構造
原発性進行性失語症の認知機能障害,生活障害,行動・心理症状
Cognitive Symptoms, Functional Disability and Behavioural Changes in Primary Progressive Aphasia
鈴木 匡子
1
Kyoko SUZUKI
1
1山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学
1Department of Clinical Neuroscience, Yamagata University Graduate School of Medicine, Yamagata, Japan
キーワード:
Aphasia
,
Alzheimer disease
,
Frontotemporal lobar degeneration
,
Semantic dementia
,
Progressive non-fluent aphasia
Keyword:
Aphasia
,
Alzheimer disease
,
Frontotemporal lobar degeneration
,
Semantic dementia
,
Progressive non-fluent aphasia
pp.933-939
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205268
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はじめに
言語は,ヒトが他の動物とは大きく異なる機能である。言葉を持つことにより,複雑なコミュニケーション,抽象的思考,高度に発達した社会の構築などが可能となった。さらに,文字の獲得が,時代を超えた知恵・知識の継承,文化の発展につながった。
したがって,ヒトが言葉を失うと,社会生活にさまざまな障害が生じる。失語症は大脳の器質的損傷により,言語に障害を来した状態である。1861年にBrocaがタンタンとしか話せない非流暢性失語の報告をし,1874年にWernickeが流暢性失語を報告して以降,失語症という症状が知られるようになった。当初は主に脳血管障害などの局所脳損傷による症例の報告であったが,1892年にはPickが失語を主症状とする変性性認知症について記載している14)。これが,典型例ではないものの,左側頭葉の萎縮が目立つ原発性進行性失語症の最初の報告と考えられる。
本稿では,変性性認知症における原発性進行性失語症について,言語障害の特徴とそれに関連した生活障害,行動・心理症状の概要を述べる。
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