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特集 災害メンタルヘルス
災害ストレスと脳形態変化
Post-disaster stress and structural brain changes
関口 敦
1
Atsushi SEKIGUCHI
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所行動医学研究部
キーワード:
災害ストレス
,
脳形態変化
,
因果関係
,
レジリエンス
Keyword:
災害ストレス
,
脳形態変化
,
因果関係
,
レジリエンス
pp.149-153
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27802149
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災害ストレスに起因する精神症状と脳形態変化について多数報告はあるが,災害ストレス曝露後の横断研究が主であり,脳形態変化との因果関係や脳画像変化の回復過程は未解明であった.東北大学では,東日本大震災前から継続的に脳画像研究を行っており,震災前の脳画像のデータを多数保有していた.これらデータを活用した震災経験を挟んだ縦断脳画像研究を行い,震災後精神症状と脳形態変化の因果関係および回復の予測因子を検証した.震災前の前帯状皮質の灰白質量の減少と前帯状束の白質統合性の低下を震災後の精神症状の脆弱性因子,眼窩前頭皮質の灰白質量減少,左帯状束と鉤状束の白質統合性の上昇を震災後精神症状の獲得因子,右背外側前頭前野の灰白質量の増加と帯状束/鉤状束の可塑性および自尊心の高さが回復の予測因子であることが明らかにできた.脳画像変化が,さまざまなフェーズでの災害ストレスの脳画像バイオマーカーとなることが示唆された.
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