特集 小児科医のためのHPVワクチンUPDATE
6.名古屋スタディの概要と研究をめぐる状況・展望
鈴木 貞夫
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1名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野
キーワード:
名古屋スタディ
,
HPVワクチン
,
疫学研究
,
因果関係
Keyword:
名古屋スタディ
,
HPVワクチン
,
疫学研究
,
因果関係
pp.562-567
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001748
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HPVワクチン接種と接種後症状との関連についての疫学研究「名古屋スタディ」とその周辺の出来事を記す.全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会愛知支部の要望で始まったこの研究では,HPVワクチン接種は接種後症状の経験のリスク上昇と関連していなかった.一方,名古屋市が公開した同データを使用した「八重・椿論文」では,「簡単な計算ができなくなった」などの症状で有意に高いオッズ比がみられ,ワクチンとの関連を示唆している.八重・椿論文が掲載された学会誌での方法論をめぐっての討論は不十分で,矛盾する内容の2論文が存在している現状は科学的,社会的に不合理である.問題点を確認し,専門職が解決に向かって努力すべき課題である.
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