Japanese
English
特集 口腔と全身疾患研究の最前線
歯周病と糖尿病の相互作用
Bidirectional interaction between periodontal disease and diabetes
西村 英紀
1
Fusanori NISHIMURA
1
1九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯周病学分野
キーワード:
adipocyte-macrophage interaction
,
急性期タンパク
,
インスリン抵抗性
Keyword:
adipocyte-macrophage interaction
,
急性期タンパク
,
インスリン抵抗性
pp.1037-1040
発行日 2021年6月19日
Published Date 2021/6/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277121037
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従来,歯周病は糖尿病で進行が促進される,いわば糖尿病の合併症としてとらえられてきたが,近年,逆にこうして重症化した歯周病が軽微な慢性炎症を介して糖尿病の進行を促進する可能性が指摘されるようになった.この概念が提唱された当初は現象論にとどまっていたが,その後の基礎臨床研究の成果によって,その分子基盤がおぼろげながら解明されつつある.とりわけ,口腔局所の感染症で惹起される歯周病による炎症が,いかなる機序で全身性に増幅され,糖尿病の病態を修飾するかを考察するうえで,adipocyte-macrophage interactionが重要な役割を果たすと考えられるようになり,病態の解明が一気に進んだ.この分野の研究は,肥満によって惹起される脂肪組織の炎症そのものの病態生理の理解を助けるとともに,新たな治療標的を見出す一助となる可能性もある.
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