Japanese
English
研究ノート
糖尿病の合併症としての歯周病―その新しい考え方―歯周病をchronic sub-clinical inflammationとして捉えると?
Periodontal disease as a complication of diabetes mellitus:recent way of thinking
西村 英紀
1
1岡山大学大学院医歯学総合研究科 病態制御科学専攻 病態機構学講座 歯周病態学分野
pp.473-474
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100473
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
歯周病をchronic sub-clinical inflammationとして捉えると,これまで気付くことのなかった全身への影響がうかがえる.
□糖尿病の合併症としての歯周病
歯周病は従来から糖尿病の慢性合併症として捉えられてきた.事実,歯周病は糖尿病の第6番目の合併症であると提唱する研究者もいる.一方,近年肥満も歯周病の進行を助長する病態であると考えられるようになった.すなわち,肥満や糖尿病に代表されるいわゆる虚血性心疾患に対する危険因子が重積した病態では,歯周病が重症化しやすいものと考えられる.歯周病はグラム陰性偏性嫌気性菌の感染によって惹起される慢性炎症であり,中等度の歯周病では生体が嫌気性菌の塊(バイオフィルム)と接する面積は,およそ手のひら大になると見積もられている.すなわち,重症の歯周炎はsub-clinical rangeの慢性炎症に匹敵すると捉えることができるかもしれない.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.