今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[そのほか] 齲蝕(むし歯),歯周辺疾患
秋山 敏夫
1
,
秋山 喬
2
1牧田総合病院産婦人科
2昭和大学歯学部齲蝕・歯内治療学講座
pp.484-485
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100245
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1 診療の概要
古来,女性は子供の数だけ歯を失うといわれてきた.胎児の成長に伴う母体のカルシウム不足が齲蝕の一因と考えられた.実際,超音波骨密度測定装置を用いた多数の同一症例の研究では,妊娠中に母体の骨密度は低下することが示唆されている1).しかし,すでに形成が完成している母体の歯からカルシウム塩が再吸収されることはほとんどない.
妊娠という現象は口腔内の環境を変化させ,歯や歯の周囲組織に影響を及ぼす.原因は妊娠による内分泌環境やビタミン代謝の変化,唾液の影響(pHや量,粘稠度の変化)などが挙げられる2).しかし,最大の原因はつわりや不規則な食事などにより口腔内の清掃が不十分となり,口腔内細菌が繁殖し,歯垢も沈着しやすくなることによる口腔衛生上の不注意といわれている.
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