Japanese
English
特集 NMDA受容体と精神疾患
NMDA受容体とミスマッチ陰性電位
N-methyl-D-aspartate receptor and mismatch negativity
臼井 香
1
,
切原 賢治
1,2
,
多田 真理子
1
Kaori USUI
1
,
Kenji KIRIHARA
1,2
,
Mariko TADA
1
1東京大学医学部附属病院精神神経科
2同バリアフリー支援室
キーワード:
ミスマッチ陰性電位(MMN)
,
NMDA受容体
,
統合失調症
,
事象関連電位
Keyword:
ミスマッチ陰性電位(MMN)
,
NMDA受容体
,
統合失調症
,
事象関連電位
pp.960-963
発行日 2021年6月12日
Published Date 2021/6/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27711960
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ミスマッチ陰性電位(MMN)は,事象関連電位(event-related potential)の成分のひとつである.N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬を投与することによりMMN振幅が低下することが報告され,MMNの発生機序にNMDA受容体機能の関与があることが示唆されてきた.また,統合失調症患者においてMMNの振幅低下が広く報告されている.統合失調症では,その病態モデルのひとつにNMDA受容体機能低下仮説があることから,MMN振幅低下はNMDA受容体機能低下を反映している可能性があるとして注目されている.一方,NMDA受容体作動薬の投与による,統合失調症の症状改善やMMNの振幅増加も報告されていることから,MMNは統合失調症の病態解明だけでなく治療法開発に役立つ生物学的指標となる可能性がある.今後は,MMNの詳細な発生メカニズムを明らかにしていくことが期待される.
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