Japanese
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特集 NMDA受容体と精神疾患
心的外傷後ストレス障害の病態におけるNMDA受容体の役割と新規治療薬の展望
Role of NMDA receptors in the pathology of post-traumatic stress disorder and prospects for new therapeutic agents
佐々木 剛
1
Tsuyoshi SASAKI
1
1千葉大学医学部附属病院こどものこころ診療部
キーワード:
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
,
NMDA受容体
,
新規治療薬開発
,
イフェンプロジル
Keyword:
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
,
NMDA受容体
,
新規治療薬開発
,
イフェンプロジル
pp.982-984
発行日 2021年6月12日
Published Date 2021/6/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27711982
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心的外傷後ストレス障害(PTSD)は,実際にまたは危うく死ぬ,重傷を負う,性的暴力を受けるなどへの曝露後,侵入症状,持続的回避,認知と気分の陰性の変化,覚醒度と反応性の著しい変化が1カ月以上持続する精神障害である.PTSD症状とN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体によるグルタミン酸神経伝達が関係していることが示唆されており,その作用を持つ薬剤がPTSDの新たな治療薬として期待されている.イフェンプロジルは,1979年から脳梗塞後遺症,脳出血後遺症に伴うめまいの改善薬として臨床使用され,NMDA受容体NR2Bサブユニットに対するアンタゴニスト作用を有する.筆者らは,思春期のPTSD患者を対象にしたイフェンプロジルの有効性を検討するためのプラセボ対照二重盲検比較試験を実施し,重篤な有害事象なく新規治療薬としての可能性を示唆した.
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